BtoB企業の新商品開発のポイント

1.新商品開発の必要性

BtoC企業がマスの顧客を対象とするのに対して、BtoB企業では少数の顧客(企業)を対象に商品やサービスを提供します。Q(品質)、C(コスト)、D(納期)といった要望に的確に応えていくことにより顧客(企業)の信頼を得て、長期にわたる優良な関係を築いていくことができました。
しかしながら技術革新のスピードが加速する中、顧客(企業)の商品もすぐに陳腐化し、新たな商品を次々に市場に投入する中、顧客(企業)の新商品に対応した商品を開発していく必要があります。また、グローバル競争やビジネスのオープン化に伴い、BtoB企業間の競争が激しくなっており、高付加価値化など競合他社との差別化をたえず行っていかなければなりません。
QCDのブラッシュアップはもちろんのこと、新規商品への対応やや高付加価値化をはかる新商品開発を定常的に行っていく必要があるのです。

2.商品開発の流れ

新商品開発のポイントをおさえるにあたり、商品開発の流れを説明したいと思います。
BtoC企業では不特定多数の顧客が対象のため、環境分析や市場調査によるターゲットを絞り込む構想段階をまず行い、それを踏まえてターゲットのニーズに的確に応える商品コンセプトを作り上げる企画段階、そして具体的な商品展開を行う開発段階のステップになります。
BtoB企業では顧客(企業)の企画段階から参画することになり、顧客(企業)からの要求や要望に対応したシーズを検討する構想段階、商品仕様設定及び具体的な開発を行う企画開発段階ステップの段階になります。顧客(企業)の構想や企画が見えてからの着手となるため、短期間で的確に商品開発を行っていくことになります。



商品開発のポイントは、「顧客をおさえる」ことと「自社の強みをおさえる」ことです。

3.顧客をおさえる

新商品を次々に投入しなければならない顧客(企業)にしっかりと食い込んでいくためには、顧客(企業)に響く提案そして顧客(企業)と緊密に連携した開発が必要です。そのためには、顧客(企業)の目線で顧客のポジションをおさえることがポイントになります。下記の図は、顧客(企業)とBtoB企業のポジションを示したものです。
顧客(企業)は(顧客の)顧客のニーズをおさえるとともに、競合他社と差別化をはからなければなりません。また、(顧客の)顧客の潜在ニーズや動きを把握するためには、環境(政治、経済、社会、技術)をおさえる必要があります。顧客(企業)と同じ視点を持つことで、顧客(企業)から出るであろう要求や要望を先行しておさえることにより解決策の事前検討を行ったり、顧客(企業)に投げかけて要求や要望を引き出すことが可能になります。顧客(企業)と同じ視点で相手の状況を深く理解することにより、顧客(企業)の構想・企画に食い込むことが可能になるのです。



4.自社の強みをおさえる

顧客(企業)から引き出した要求や要望に対して的確に応える必要があります。顧客のニーズにいかに自社の強みであるシーズをマッチさせるか、これがポイントです。BtoB企業が顧客(企業)に提供している商品やサービスには必ず自社ならではの強みがあります。自社の強みすなわちシーズなくしてBtoB企業は存続しません。自社の強みをしっかりおさえておくこと、さらにその応用範囲を広く検討しておくことも大切です。また、商品やサービスが広がるに連れて自社の強みも広がっていきます。複数の強みを組み合わせることで競合との差別化ポイントが生まれます。また、要求や要望への対応の切り口が広がっていきます。
下図は、試作開発を専門とするA社の強みをまとめたものです。光学センサ技術、メカトロ技術、無線通信技術といった複数の強みの技術でセンサ・メカトロ技術で差別化をはかるとともに幅広い商品に対応しており、多数の顧客(企業)に評価されています。



5.事例

 新商品開発の事例として、シャープの携帯電話を紹介したいと思います。顧客(企業)は携帯電話会社のボーダーフォンで、シャープは携帯電話をおさめていました。2000年春、ボーダーフォンは秋冬モデルの企画に着手しました。当時の人気商品は、携帯電話、音楽プレーヤー、レンズ付フィルム、女子学生を中心に人気の商品は新3種の神器と呼ばれるほどです。携帯電話もほぼ行き渡り、競合の携帯電話会社NTTドコモやAUは音楽機能を携帯電話に加えて付加価値化をはかっていました。ボーダーフォンは、カメラ機能を携帯電話に加えることで競合他社との差別化しようと考えます。
 一方、シャープは別の視点でカメラ機能の搭載を検討していました。社内にCMOSカメラのシーズがあり、これをいかせないかと考えたのです。しかし気がかりな点がありました。京セラから先行販売されていたカメラ付き携帯電話が売れていないのです。開発担当者は街のプリクラコーナーの女子学生の様子を見ていてひらめきます。「カメラをテレビ電話機能として提案していたがそんな使い方をユーザーは楽しいだろうか…プリクラ感覚で写真をとり、交換し合ったらいいのではないか。」ボーダーフォンに提案したところ、ボーダーフォンの方向性と一致し、開発がスタートしました。
ただし、ボーダーフォンから厳しい要求が出ます。
 ・カメラを組み込んでも従来と同等のサイズにすること
 ・自分を撮影できるようにすること
 ・撮影時にシャッター音を鳴らすこと
シャープはこれらの課題を解決するために、
 ・CMOSカメラ
 ・専用IC
 ・フレキシブルP板
といったシーズを結集して、秋の発売にこぎつけたのです。
顧客(企業)のニーズを引き出し、自社のシーズを組み合わせて新商品を開発した見事な事例だと思います。


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